FAQ2 発明の届出手続きについて

2.発明の届出手続きについて
Q2-1: 具体的な発明の届出・相談はどちらにしたらよいのでしょうか?
Q2-2: 発明届出はいつ行ったらよいのですか?
Q2-3: 発明届出時の留意事項を教えてください
Q2-4: 届け出た発明はその後どうなるのですか?
Q2-5: 届出から特許出願まではどれくらいかかるのですか?
Q2-6: 特許の手続期限やその後の運用はどのように管理されるのですか?
Q2-7: 個人あるいは企業から出願をし、その後大学に譲渡するということは可能でしょうか
Q2-8: 海外出願の体制はどのようになっているのでしょうか。
Q2-9: 審査請求や特許の維持判断はいつどのようにするのですか?

2.発明の届出手続きについて

A2-1:
発明に関する届出・相談は京都大学産官学連携本部が承ります。発明の届出は、産官学連携本部のホームページより所定の届出書(発明提案書)をダウンロードしていただき、発明の内容をご記入の上添付ファイルで受付メールアドレスにお送り下さい。また、発明提案書には機密情報も含む記述を頂きますので、必要に応じてファイルにパスワード等を設定の上、お送りください。
現在、産官学連携本部(VBL棟2F; 075-753-9181)が発明に関する業務・相談受付を行っております。
メールでの相談はこちらまでお寄せください。

A2-2:
特許出願を行うためには、産業上利用できることが必要であるため、自然科学の発明においては全くのアイディア段階ではなく、ある程度実験データの裏づけが必要です。しかしながら、完璧な完成を期すために出願を遅らせることも得策とはいえません。特許の出願は、だいたい学会発表と同じようなものとお考え下さい。
すなわち、今までにない新しいデータが得られ、学会発表を行うに足ると判断された時が発明届出のタイミングです。発明届出から実際の特許出願までにデータの追加や改良を行うことは学会発表と同様に可能ですし、特許出願明細書作成時の弁理士とのやり取りによって追加実験の内容も推敲され、学会発表の内容も練り上げられる可能性もあります。発表があるから、あるいはしてしまったから発表直前あるいは期限直前に慌てて届出を行うというのではなく、学術発表と特許出願を両輪にして互いに内容を高めあっていくことが理想と考えます。

A2-3:
届出時に留意することとして、以下の点をご確認下さい。
(1)発明者の確認
発明者とは、目的とする課題について具体的な解決手段の提供、実験、設計、試作等を行った人であり、単に目的や課題を与えただけの人、言われるままに手や機械を動かしただけの人、一般的なアドバイスや技術思想のみを与えた人は発明者とはみなされません。学生や他機関の研究参加者も含め、全ての発明者を再度確認してください。また、出願までに発明者の間で発明に寄与した割合を定め、持分を証明する書類(産官学連携本部が準備します)を提出することも必要となります。

(2)研究の経費
民間等との共同研究や独立行政法人からの受託研究、科学研究費補助金や国のプロジェクトの予算などの経費から生じる発明については、あらかじめ契約により研究成果に対する権利の帰属(あるいはその持分割合)や出願に係る費用の財源、出願時等の委託先への報告義務などが決められていることがあります。また、一つの研究成果を複数のプロジェクトの成果として重複して成果報告に記載すると、後々問題になる可能性もあります。発明にあたりどのプロジェクトの経費を使用したか、どのプロジェクトの成果とするかを判断して下さい。

(3)先行技術調査
発明届出の前には、可能な範囲で先行技術調査をお願いします。2002年9月1日に施行された特許法改正により、特許の出願にあたっては出願人の知る限りの先行技術文献情報の開示が必要となりました(第36条4項2号)。この先行技術文献情報は発明の新規性や進歩性を判断するために必要なもので、当該技術に最も詳しい者の一人である出願人及び発明者が先行技術文献を開示し、技術の比較説明をすることにより、審査の迅速化や権利の安定化が期待されています。
大学で行われている研究は非常に多岐にわたるため、先行技術調査には発明者である研究者の協力が不可欠となります。先行技術の中には、学術雑誌の文献検索では事例がなくても、特許出願がなされ、公開特許公報により公開されているものもありますので、特許庁の公開特許公報フロントページ検索でのキーワード検索等を行って、届け出る発明の内容が既に出願されていないかご確認下さい。京都大学電子図書館ホームページからは、全世界の特許に関する検索ができ、引用・被引用の関係も分かるデータベース(Derwent InnovAtions IndexSM)や、海外の特許・論文を日本語で検索できるデータベース(JDreamⅡ)が用意されています。
また、ご相談いただければ産官学連携本部が特許検索のお手伝いも致します。

(4)発表の状況の確認
論文投稿や学会発表を行い発明の内容が公知になると、その特許出願は新規性がないものとされ、特許権を取得することができなくなります。そのため、近いうちに発表の予定がある場合はその発表の予定日(学会発表の場合は、発表当日ではなく予稿集に記載される発行日です)をお知らせください。

また、既に発表をしている場合でも、特許法第30条適用による新規性喪失の例外の申し立てを伴う特許出願を行うことができるときもあり、その発表日をお知らせ下さい。

A2-4:
発明の届出をしていただきますと、まず産官学連携本部の担当者が発明者の方に対し内容や発明の経緯、書誌事項についてヒアリングを行うために伺います。そのヒアリングの内容をもとに特許や学術文献の先行技術に関する追加調査や市場性の調査などを行い、その後、当該発明を大学として承継し出願するかどうかの決定を行います。
ここで承継・出願すると決定されると発明者から大学へ特許を受ける権利の譲渡をしていただき、出願作業に入ります。発明者の方には特許事務所の弁理士との明細書作成業務にご協力いただきます。
なお、大学として承継・出願を行わないと決定された発明については発明者個人にお返しいたします。

A2-5:
以上見てきましたように、発明の届出から特許出願までには、発明者のヒアリング、承継・非承継の決定、明細書作成などの手続があるため、2,3ヶ月の時間がかかることをご理解下さい。ただし、民間等との共同研究から生まれた発明などで共同出願後の実施先の見込みが確保されている場合には審議に要する時間が短縮される場合があります。

A2-6:
特許に関する手続は、出願後も国内優先権主張出願、出願公開、審査請求、拒絶応答、登録、維持年金の払込、外国出願など様々なステップがあり、それぞれに期限があります。また、成立した特許を実施する際にも実施契約、特許原簿の登録変更、定期的な実施報告、対価の計算・受領、学内配分などやはり多くの手続が必要です。京都大学全体から出される特許案件の全てについてこうした手続や期限の管理を行うため、産官学連携本部では民間企業で使われているコンピュータ特許管理システムをベースにしつつ、大学独自の事情に即した新しい管理システムをソフトウェア会社と連携して構築し、効率的で漏れのない管理を目指しています。

A2-7:
公表の期限等の事情により、このような相談を受けることも多いのですが、帰属の決定は原則として出願前に行われるべきものです。帰属が決定しないまま個人名で出願したり企業から出願してもらったりした場合、大学帰属の原則が崩れるだけでなく、後からでは出願した人に大学が出願費用を払えない(出願費用は当該出願を行った人の債務とみなされ、大学は有償での譲渡を受けられない)といった問題が生じます。
また、帰属の決定前に勝手に京都大学を出願人に加えて出願することも問題が生じます。期限が差し迫っている場合でも出願前に産官学連携本部にご連絡いただければ対応もいたしますし、何より出願をお考えの発明は発表を意図した時点(学会申込、論文執筆の段階)でご提出いただくよう習慣付けていただくことをお願いします。

A2-8:
国内出願後1年以内であれば、その出願を基礎として海外にも特許出願を行うことが可能です。外国特許出願・維持は非常に経費がかかるため、大学としても科学技術振興機構の海外特許出願支援制度に申請する等の手当てを行っておりますが出願案件、出願国を厳選せざるを得ない状況です。外国出願にあたっては、本当にその国での特許権が必要となるのか、実施する可能性があるかどうかを確認させていただきます。

A2-9:
特許は出願しても、審査請求を行わなければ審査されず、特許が認められることもありません。審査請求は出願後3年以内に行わなければ出願が取り下げられたものとみなされます。審査請求やその後の拒絶応答にはかなりの費用が生じますので、当該出願にデータを追加したり外国へ出願したりする可能性がある場合(原出願がみなし取下げされる場合)にはまだ審査請求を行うべきではありません。その他、出願前に未公開であった技術がすべて公開(出願後1年半後)され、新規性・進歩性があることを確認したり、実施候補企業を探して実施することが有力になったりした時点で審査請求を行うことがよいと考えられます。
現在はそれらの事情を含め、特別の事情がなければ出願後2年半を経過した時点で審査請求を行うかどうか判断を行っています。また、審査請求や特許成立後も、産業界で実施されているか、今後実施される見込があるかを基準にして数年ごとに維持の判断を行っております。